この記事の監修者と編集者 監修:公認心理師/臨床心理士 FUMI(左写真) |
なかなか見分けられないですよね。
でも実は選び方のポイントさえ押さえれば、むしろ答えはシンプルなんです。
それは悪いカウンセラーを選択肢から排除するこで自然と良いカウンセラーに出会えるから。
このページでは、より細かい理由を交えて、わかりやすく説明していきます。
目次
名ばかりカウンセラーにつかまらないで
資格を取得しただけで相談を請け負ったことのない、経験不足なカウンセラーを「名ばかりカウンセラー」と呼ぶことも。
名ばかりカウンセラーにつかまってしまうと大変、効果がないだけではなく症状が悪化する恐れもあるのです。
効果がないばかりか悪化する場合も
「名ばかり」とは肩書きだけが立派で、実力(実質)が伴っていないことを意味する言葉です。
名ばかりカウンセラーのカウンセリングを受けることで、「全然効果が感じられない…、お金と時間の無駄だった」と落ち込んでしまうこともあり得ます。
酷いカウンセラーだと、誤った対応をしたばかりにクライエントの心の病を悪化させてしまうことも。
心の傷は見えないからこそ、以前より悪くなったとしても自分ではなかなか気づけません。
名ばかりカウンセラーにかかることは、それだけデメリットが大きいのです。
資格だけで見極めることが困難
自分の担当カウンセラーは名ばかりカウンセラーなのか、そうではないかを資格だけで見極めることはちょっと難しいと考えていいでしょう。
なぜなら資格があるから、優秀で経験豊富なカウンセラーだとは言い切れないからです。
- 心理系の国家資格を持っているカウンセラーは、日本に何人いるのか?
- 無資格でもカウンセラーになれるって本当?
- 無資格でも優秀なカウンセラーは存在している?
誰もが疑問に感じるこれらのことについて、1つ1つ解説にしていきましょう。
国家資格を持つ人はまだ少ない
「公認心理師」という国家資格が誕生するまで、心理系の資格は民間のものしかありませんでした。
カウンセラーの保有する資格として代表的な臨床心理士や認定心理士、産業カウンセラーなどこれらの資格も、実は全て民間資格なのです。
公認心理師の第1回目の試験についてまとめてみました。
- 試験実施日(第1回目):2018年9月
- 合格発表:2018年11月
- 公認心理師試験の受験者数:35,020人
- 内合格者数:27,876人
期日や合格者数を見てもわかる通り、公認心理師という国家資格を持っているカウンセラーはまだまだ数が少ないといえます。
民間資格もあるが無資格でも可能
カウンセラーになるには絶対に資格がないとなれないのでしょうか?
答えはNO、実は民間資格を保有していない無資格者でも、「私は今日からカウンセラーです」と名乗ることができてしまいます。
カウンセラーになるときに、とくに資格を必要としません。
病院の精神科などでは、求人条件に臨床心理士などの資格を必須としているところが多くあります。
しかしネット上で相談者を募って活動しているカウンセラーや電話専門カウンセラーの中には、心理系の資格を持っていないという人もいるのです。
無資格でも優秀な人は大勢いる
無資格のカウンセラーにも、経験や知識が豊富な凄腕カウンセラーはいます。
反対に、資格を持っていたとしても「知識はあるけれど、経験がない…」というちょっと頼りないカウンセラーもいるのです。
そのカウンセラーが自分にとって良いカウンセラーなのか、名ばかりカウンセラーではないかを見分けるとき、資格だけに気を取られないようにしましょう。
資格ではなく、カウンセラーその人の言動や行動などに注目することで、名ばかりカウンセラーを避けられるのです。
自分にあったカウンセラーを見極める
カウンセラーを選ぶときは、資格だったり学歴や経歴ばかりを見るのではなく、自分と相性が良いかどうかを重視するといいでしょう。
「初回カウンセリングで話したとき」「そのカウンセラーのHPを読んだとき」などに感性が近いと感じたか。
そうしたところを大事にすることで、あなたにとって良いカウンセラーを探すことができます。
結局は人と人「相性がもっとも大事」
カウンセリングというと、悩みを聞いてくれるカウンセラーがメインのように思えますよね。
でもカウンセリングにおいて、カウンセラーはあくまでサポート役。本当の主役はクライエント、相談に来るあなたなのです。
そのことから考えて、相性が悪いカウンセラーのカウンセリングを無理やり受ける必要はありません。
カウンセラーとクライエントでありつつ、しかし結局は「人と人」。
相性の良いカウンセラーと出会うことで、あなたが今悩んでいる症状についても、改善していく可能性が高まるでしょう。
ホームページの文章に感性が近いかどうか
カウンセラーによってはHPであったり、ブログなどSNSで自身の情報を発信している場合もあります。
そうしたものを読んでみるのもおすすめ。自分とそのカウンセラーは感性が近いかどうかがわかりますよ。
実際にカウンセラーと会う前には、HPやブログなどを確認してみてください。
中には「こういうアイテムが効くんですよ~」なんて、クライエントに何らかの商品を売ろうとしていることも。
お金儲けのことしか考えていないような怪しいカウンセラーの場合、このような宣伝もどきの内容が書かれていることもあるのです。
「この人はちょっと合わないかなぁ」というのは、案外HPからも判断できます。
カウンセラーを探す方法
カウンセラーを探すためには、
- 今通っている病院と提携を結んでいるクリニックを紹介してもらう
- 知人にどこのカウンセリングルームがいいか聞いてみる
- 紹介してくれる人がいない場合、Webの口コミを参考にする
という方法があります。
Webの口コミを参考にする場合は、顔も名前もわからないという匿名性がある分、本質をついているものがたくさんあります。
「このクリニックのAというカウンセラーは良かった」、「B先生はこういった性格だ」などの口コミから、自分が話してみたいと思えるカウンセラーを探してくださいね。
医師や知人などからの紹介
もしも今、あなたが病院に通っているのであれば、その病院とつながりのあるカウンセリングルーム、あるいはカウンセラーを紹介してもらいましょう。
医師に「カウンセリングを受けたい」と伝えれば、紹介状を用意してもらえるはずなので、是非勇気を出してお願いしてみてください。
あなたの友人知人でカウンセリングに通っている人がいる場合、その人に「今度カウンセリングを受けてみたいんだけど、誰か良いカウンセラー知らない?」と聞いてみましょう。
その人には相性が良くて、あなたには合わないという場合もあります。
ですが、自分の知っている人が「良い」と思えるカウンセラーなら安心して悩み相談できるでしょう。
Webなどの口コミを参考に探す
例えば「東京 渋谷駅 カウンセリング」など、自分の住んでいる地域でWeb検索をすると、あっという間に渋谷駅近くにあるカウンセリングルームが出てきます。
そこから気になるカウンセリングルームであったり、カウンセラーの名前で更に検索をかけると、より詳細な情報や評判、口コミを知ることができるでしょう。
ちなみに検索する場合は、以下のように「単語」を入力して検索をかけましょう。
- 「Aカウンセリングルーム 口コミ」
- 「A先生 カウンセリング 口コミ」
実際にそのカウンセリングルームに行ったことのあるクライエントによる「この先生は自分の話しを聞いてくれた」、「穏やかで話しやすかった」など対応への評判を知ることができます。
優秀なカウンセラーの特徴
クライエントのことをしっかりと考えてくれる優秀なカウンセラーにはいくつかの特徴があります。
- カウンセリング歴が長いこと
- 精神科などへの勤務実績があること
- 資格の有無
こうしたところからあなたの見つけたカウンセラーは優秀かどうかを比較することができるのです。
カウンセリング歴が長い
カウンセリング歴が長いということは、それだけ多くのクライエントの相談を、そのカウンセラーは請け負ってきたのだと考えられます。
経験豊富なカウンセラーは様々な症状、悩みを抱えるクライエントに対応してきたこともあり、あなたの悩みについても適切な対応をしてくれるでしょう。
カウンセリング歴はカウンセラーのHPやプロフィール欄に掲載されている場合が多いので、チェックしてみましょう。
しかしクリニックによっては個人情報ということから、在籍しているカウンセラーの名前や性別、経歴を明らかにしていない場合もあるので注意してください。
研修・勤務の実績がある
カウンセラーになるために絶対必要な資格はとくにありません。
しかし勉強熱心で優秀なカウンセラーは、大学や大学院、養成機関などでカウンセラーになるための教育を受けていることがほとんどです。
また、カウンセラーとして実際に病院の精神科で研修を受けた、勤務した経験があるというところもポイントとなります。
スクールカウンセラーなら元教員、自身のカウンセリングルームを開室している診療心理士なら、元精神科医や大学教師というパターンが多いでしょう。
資格有無も参考に
カウンセラーは資格を持っていなくてもなることのできる職業です。
確かに資格が無くても経験豊富で優秀なカウンセラーは存在します。
心理系の資格を持っているけれど経験不足というカウンセラーもいるでしょう。
しかし資格の有無も参考にしておくことで、より優秀なカウンセラーを探し出すことができるのです。
あなたの見つけたカウンセラーは一体どのような資格を持っていますか?
- 国家資格である「公認心理師」
- 多くのカウンセラーが保有している「臨床心理士」
これらの資格であれば、そのカウンセラーは専門的な知識を積んだのだと考えられます。
【注意】名ばかりカウンセラーの特徴
世の中には名ばかりカウンセラーもいます。
名ばかりカウンセラーの特徴として多いのが、誇大広告や高すぎるカウンセリング料金。
どういったことが誇大広告となるのか、いくら以上なら高すぎる料金設定といえるのかを1つずつ解説していきましょう。
誇大広告
「誇大広告(こだいこうこく)」とは、実際のサービス内容よりも良いものだと、消費者に対して錯覚、誤認させるような広告のことです。
- 「絶対に良くなりますよ!」
- 「必ずあなたの心の病を治します」
- 「すぐに悩みを解決してみせます」
といった言葉が多いカウンセラーには注意しましょう。
なぜ「絶対治る」「すぐ解決する」という言葉がいけないのか。それはカウンセリングや治療に“絶対”はないからです。
クライエントそれぞれによって、どの程度良くなるか、どのくらいの期間で改善していくのかは違います。
都合の良いことばかり言ってくるようなら、そのカウンセラーは避けてください。
高すぎる料金設定
カウンセリング料金は、機関やカウンセラーによって違います。保険が使えるならばもっと割安になるでしょう。
1回のカウンセリングにつき2000円~1万円の範囲内が常識的な料金設定だと考えられます。
中でも気を付けておきたいのが、カウンセリングを行う前に一括で高額なカウンセリング料金を支払わせようとするカウンセラー。
個人でカウンセリングルームを開室しているカウンセラーには、先払いで高い料金を取ろうとするところも。
通常は1回カウンセリングが終了するごとに、その1回分を支払います。
一括先払いを要求するカウンセラーには注意しましょう。
まとめ:探して見分ける5ステップ
優秀なカウンセラーを探し、そして見分けるための5ステップをご紹介します。
あなたの周囲にいるカウンセリング経験者に相談したり、口コミ情報をリサーチするなど、段階を踏むことでカウンセラーを探せますよ。
カウンセラー探しに行き詰ってしまったときは、こちらの探し方でカウンセラーを見分けましょう。
周囲に経験者がいれば聞く
まず初めに、あなたの周囲にカウンセリング経験者がいないかどうか探してみましょう。
普段は明るく振る舞っているあの人も、実はカウンセリングを受けたことがあるかもしれません。
「この人にならカウンセリングについて相談できるかも…」という人がいれば、是非その人に聞いてみてください。
カウンセリング経験者ならば、
- 「どういったカウンセラーだと安心して相談できるのか」
- 「カウンセリングではどういったことを聞かれたのか」
ということも教えてもらえる可能性があります。
近隣地域でWebで検索
1回のカウンセリングで良くなったと思える人もいれば、週に1回を半年間続けてやっと少し楽になったという人も。
もしも長期間カウンセリングへ通うことになってもいいように、なるべく自分の行動範囲で探すようにしましょう。
自分の住んでいる市内など、近隣地域でWeb検索してみてください。
夜遅くまで開室しているカウンセリングルームであれば、仕事帰りに立ち寄れるので、職場の近くで探すのもいいですね。
あまり遠い場所にあるカウンセリングルームだと継続して通うことが困難となるので、近場で探すことがおすすめです。
経歴や資格有無・適正料金かを見る
あなたの見つけたカウンセラーが、
- 「どういった経歴の持ち主だったか」
- 「どのような資格を保有していたか」
- 「適正料金であったか」
というところにも注目しましょう。
- 「カウンセラーとしての経歴があまりにも短すぎる」
- 「資格を保有していない」
- 「適正料金ではない」
など引っかかるところがあれば、少し考えた方がいいかもしれません。
怪しいと思ったカウンセラーはなるべく避けておくことが無難。
自分だけでは判断できないときは、周りの人に「このカウンセラーどうかな?」と聞いてみるのもいいですね。
口コミ情報をリサーチ
ある程度カウンセラーを絞り込んだなら、次はそのカウンセラーの口コミ情報をリサーチしてください。
Webでカウンセリングルームやカウンセラーの名前で検索すると、口コミ情報が出てくることがあります。
カウンセラーのHPに掲載されている口コミは、カウンセラーにとって都合の良いものばかりの可能性も。
ネット掲示板なども検索してみると、意外な情報を手に入れられるかもしれません。
ホームページや電話対応から印象を得る
カウンセリングルームのHP、またはカウンセラーのブログなどSNSがあるようなら、そちらもチェックしてみましょう。
文章にはその人の人柄、本質が隠れていることもありますし、誇大広告がないかどうかも要チェックです。
HPがないときは、電話対応から考えてみましょう。
親切に対応してくれるか、それとも面倒くさそうに対応するのかは、電話越しでもわかります。
丁寧にこちらの疑問に答えてくれるなら、試しに初回カウンセリングへ行ってみてもいいですね。
初回のカウンセリングを受けてみて、良いと思えばそのまま次の予約を入れてもいいですし、嫌だなと思えば他のカウンセラーを探して大丈夫です。
さいごに:実際に受けてみて優秀さを見分けるポイント
カウンセラーと実際に話してみたとき、果たして優秀なカウンセラーなのかどうかを見分けるポイントがあります。
- 「あなたの言葉を受け入れてくれるのか」
- 「あなたの立場に立って考えてくれるか」
- 「あなたの陥っている状況を具体的に言葉にして説明してくれるか」
- 「主観で話さないか」
これらのポイントに注目して、カウンセリングを受けましょう。
あなたやあなたの言葉を受け入れてくれますか?
優秀なカウンセラーは悩みを相談に来たクライエントであるあなたのこと、そしてあなたの言葉を「受容的態度」、「傾聴的態度」などで受け入れようとしてくれます。
受容的態度 | 温かみのある心遣いにより、クライエントをそのまま受け入れること。 あなたのことを1人の人間として認め、尊敬と思いやりを持って対応する態度。 |
---|---|
傾聴的態度 | クライエントの話すことを肯定的に聞くこと。 |
- 「あなたに優しく、思いやりのある態度で接してくれる」
- 「あなたの話すことについてそれは違うよ、勘違いじゃない?なんて否定せず、肯定してくれる」
このようなカウンセラーは、クライエントのことをちゃんと考えてカウンセリングを行おうとします。
あなたの立場にたって考えてくれますか?
あなたの立場にたって考えてくれることを、「共感的態度」といいます。
共感的態度 | クライエントの気持ちになってその人の心の中で起きていることについて理解を示す態度。 |
---|
クライエントに心から本気で共感するカウンセラーは、あなたのことを決してないがしろにすることなく対応してくれます。
あなたが「人間関係に悩んでいて、会社に行くことが辛いんです」と悩みを話したとき、
- 「みんなそうだよ。あなただけじゃないよ」
- 「会社は仕事をするところでしょ?人間関係が悪いくらいで…」
なんて返すカウンセラーは、クライエントに共感できていません。優秀なカウンセラーはこういった場合、
- 「そうなんですね。何か人間関係に悩む出来事があったんですね」
- 「人間関係で悩みがあると、会社へも行き辛くなりますよね」
などクライエントの気持ちになって共感してくれます。
あなたを軽んじるようなことを言ったり、あなたのことを傷つけるような態度は取りません。
状況をわかりやすく言語化してくれますか?
優秀なカウンセラーならば、あなたが今陥っている状況について、
「○○さんはこういう出来事にこんな風に悩んでいて、こういった行動に出てしまっているんですね」
といったように、具体的でわかりやすく言語化してくれます。
専門的な言葉はあまり使わず、誰にでもわかる言葉で説明をしてくれるでしょう。
経験不足または知識不足な名ばかりカウンセラーの場合、見当違いなことを言ったり、「それはつまりどういうことですか?」と質問すると曖昧にはぐらかすこともあります。
専門用語や難しい表現でその場をごまかそうとするカウンセラーもいるでしょう。
「このカウンセラーは優秀か、名ばかりカウンセラーか」と悩んだときは、知りたいことを質問してみましょう。
あなたが理解するまで丁寧に答えてくれるなら、そのカウンセラーはあなたと相性の良い頼れる味方といえます。
客観的視点も織り交ぜて話をしてくれますか?
- 名ばかりカウンセラー:主観で話をする
- 優秀なカウンセラー:客観的視点も交えながら話をしてくれる
という違いがあります。
こうした話し方1つでも相手がカウンセラーとして優秀であるかどうかを見分けることが可能なのです。
- 主観的な話し方:自分の気持ちであったり考え方、物の見方をメインに話すこと
- 客観的な話し方:自分や相手に偏ることなく第三者の立場から話すこと
客観的な話し方をするカウンセラーはデータや事実に基づいて話してくれます。
「朝は気分が落ち込むのに夜になると何ともなくなる」という悩みに対して、
「そんなに気にしなくていいと思う」、「仕事に行きたくないからかな?」といった話し方をするのが主観的。
「それはこういう症状で…」など具体的な説明をしてくれるのが客観的話し方だと判断するといいでしょう。